セーラー プロフェッショナルギア マイカルタ(Sailor Professionalgear Micarta)

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セーラーのペンドクター川口明弘さんの企画商品第2弾として発売されたペンです。
軸材に「マイカルタ」と呼ばれる素材を使って作られた万年筆です。
http://www.sailor.co.jp/BUNGU/pg_micarta/index.html
 
イカルタというのはアメリカのウェスチングハウス社が商標権を持つキャンバス(綿)生地やリネン(麻)生地を重ねて、フェノール樹脂を浸透させ高圧をかけて作られています。この素材は熱膨張がほとんど無く、耐食性、絶縁性、耐摩耗性などにも優れているため、電気絶縁材、化学プラントの歯車などに利用されています。
 
趣味グッズの素材としてはカスタムナイフの世界で R.W.ラブレス氏が使用したことで有名になりました。万年筆の素材としても表面にベースとなるキャンバス生地の細かい凹凸があり、ちょうど良い引っかかりや独特の手触りがあります。
 
吸湿性も持っているため長時間使用していても滑りにくいのも筆記具としてはすばらしい性質です。製作の過程では切削する刃物がすぐに鈍ってしまうほど硬いにも関わらず、握ってみると革巻きのペンを持っているような柔らかい感覚があります。
 
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実際に使ってみても非常に手の中の納まりが良く、このところ非常に使用頻度の高いペンの一つです。欲を言うならばちょっとキャップリング部分が大きく、キャップの重量を感じるのでもう少し軽くても良いと思いました。
 
このペンは定価が57,750円もするため、発売当初は購入を見送っておりました。しかし早い段階で買った方から、あまり気に入らなかったということで譲っていただいて手元に来ることになりました。現在ではすっかり常用ペンの仲間入りをしていますので、「気に入ってくれなくてありがとう!」と感謝しなければいけないですね(笑)
 
軸径はφ13.4mm、全長は収納時で136mm、筆記時で154mmと比較的大柄なペンですね。前述の通りキャップ部分が大きいので数字以上に存在感のあるペンにしああっていると思います。
 
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ペン先は定評ある21金大型ペン。
個人的にはこのペンはバイカラーにせず、金一色のペン先にしたのは正解だと思います。
イカルタ自体がざっくりとした風合いのある素材ですので必要以上にデコラティブにしてしまうとバランスが取れないような気がします。
 
もう一つこの部分の接写をすると気づいた方も多いと思いますが、首軸部分までマイカルタ素材を使用しています。残念ながらマイカルタ素材はいくらフェノール樹脂を浸透させているとはいえ、布を使ったものなのでインクがしみてしまうんですね。一応セーラーのペン先はハート穴までインクに浸かっていれば吸引が出来ますが、さすがにちょっと怖いので今のところカートリッジ専用にして使っています。
 
イカルタ素材は長期間使うことによって、手の脂などが染み込んで色が変わってくると言われていますので、どのように今後変化していくのか楽しみにしたいと思います。