銀次郎ペン先付き 手作り万年筆

イメージ 1
 
これも先日の関西ペントレにて入手。

兜木銀次郎さんが手がけたペン先が付いた万年筆。軸はエボナイト製で朱漆が塗られたモデルです。おそらく軸作成:酒井栄助さん、ペン先:兜木銀次郎さん、化粧塗り高橋吉太郎さん、組立:土田修一さんのカルテットで組まれたものだと思われます。前オーナーにその辺を詳しく聞くのを失念しておりました( ̄▽ ̄;)

口の悪い人が言うところの酒井デュオと呼ばれる形状、実際には微妙な曲線がありますがほぼ円柱系のシンプルなフォルム。キャップリングも刻印なども無く大変シンプルなものです。クリップはティアドロップ型のものに簡単な装飾が入れられているものです。
 
イメージ 3
 
軸径φ13.5mm、全長は収納時149mm、筆記状態で180mmというかなり大柄な万年筆。ただエボナイト軸ということもあり大変に軽く仕上がっています。

インク充填は酒井ペンのお約束であるインキ止め式を採用しています。
インキ止めというのは胴軸全てがインクタンクになっており、スポイトでインクを直接補充するアイドロッパー式万年筆の一種。ただしインクを入れたら気圧や毛細管の状況任せのアイドロッパー方式と違い、尻軸から繋がったロッドによってインクが出ないように蓋をすることが出来ます。この蓋の閉め具合でインク量を調節することが出来るのが大きな特徴です。

ただ、慣れないとこのインク量の調節が結構難しくインクが出なかったり、出過ぎたりということがあるので現在ではほとんど作られていない方式です。ただ一部熱狂的な支持者がいるマニア好みの方式でもあります。滋賀県にお住まいのインキ止めオヤジさん率いる専門の愛好会なんてのも存在しています。
 
イメージ 2

ペン先は14金製、「G.K」の刻印の入った兜木銀次郎さんの手によるもの。ハート穴がちゃんとハート型なのも一つの特徴ですね。ペン芯はエボナイト丸棒からの削り出しされたものが与えられています。

兜木ペンで現存するものの多くが細字なのですが、これは珍しい太字の大きなペンポイントが付いています。ペン先はソフトタッチで良くしなって早く戻るタイプのもの、個人的は結構書きやすいです。

兜木ペン先はオークションなどではとんでもない値段が付いたりすることもあります、既にご本人が故人であるためこれから更に手に入りにくくなっていくと思われます。